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眞柄広島大学とは、当社は昨年秋からアクセシビリティとセキュリティの分野で共同活動を進め(注1)、この協力関係を確立するにあたって牟田学長には前向きにご対応いただき大変感謝しております。本日は、広島大学がいま取り組んでいる大学の法人化に伴う大学改革、産学連携、地域連携などについてお話をうかがいたいと考えております。よろしくお願いいたします。 初めに国立大学法人化についてお尋ねしますが、国立大学は2004年4月1日に法人化され、それから1年あまりが経ちました。準備期間から現在に至るまで数々のご苦労があったかと思いますが、これまでのお取り組みにと現状についてお聞かせいただけますか?
牟田私たち広島大学が本格的に取り組みはじめたのは、法人化の3年ほど前からで、その間に相当な準備を重ねてきました。とりわけ大学関係者は意識面で大きな変革を迫られたわけです。 どこの国立大学でも同じでしょうが、「法人化は国から課せられた面倒なこと」と受け止める人が多いわけです。しかし、そういう受け身の姿勢で取り組んでもいい結果は期待できません。むしろ「大学改革のチャンスだ」と捉えることが大切で、私は教授や職員たちに繰り返しそう話してきました。大学をよりよくするための活動として前向きに取り組もうということです。 そこでまず「法人化後はこうありたい」という改革案をつくりました。広島大学としての将来ビジョンです。ただし一気に改革を進めるとショックも大きいですから、2〜3年かけて段階的に移行し、なめらかにつないでいこうと考えました。 なにしろ、当時の国立大学と将来ビジョンとのギャップはかなりのものでしたから、まずは改革ステップを描いたロードマップをつくり、いまはそれに沿って進めている最中です。 しかし実際にやってみると予測していなかったことがたくさん出てくるわけですね。反省点がいくつも出てくる。いまはまさに1年あまりの経験を踏まえた課題解決の時期に入っています。 眞柄法人化によって変わった最大のポイントはどこでしょうか? 牟田計画段階で予測していた最大の変化は、われわれ自身で何ごとも決断し、実行し、改善していくということです。つまり、自律性・自主性に基づく大学運営です。従来の国立大学と比較したら、これはものすごく大きな変化です。 しかし実際に進めるうちには、学内から批判的な意見も出てきます。たとえば、自律性・自主性といいながらも、相当な制約がある。そうなると「結局のところ、以前と変わらないではないか」という意見が出てくる。一方では、自律性・自主性といいながら、少ない予算では動きようがないという意見もあります。 私は自律性・自主性をもっと前向きに捉えていますから、できるだけ私たちが自発的にやっていけることは、実行しようという方針です。具体的には、まず予算の扱いが根本的に変わってきます。従来の国立大学は、税金をもとに国から予算を100%もらっていましたが、その予算は文部科学省が「このおカネはここの費用にあてなさい」とすべて使い道が決まっていました。たとえていえば、荷札のついた小箱がたくさん届いていたようなものです。学長の役割は、その使い道の決まっている小箱を指示通りに配分することだったといえます。 ところが昨年4月からは、国からもらった予算の振り分けは、原則的には学長が考えていくことになっています。大学の自律性と自主性は高まった代わりに、学長には大きな責任がふりかかってきたわけです。 眞柄アカウンタビリティ(説明責任)ですね。 牟田小箱をみんなに分け与えていたころは、誰かが不平を訴えてきても、「予算の使い道は文部科学省が決めているんだから、不満は文部科学大臣に言ってくれ」と答えれば済んでいたわけです。それが昨年4月からは、「学長である私の判断で予算の使い道はこう決めました。不満のある方はどうぞ言ってください、話し合いましょう」というしくみになったわけです。この違いは大きいですよ。自由度が大きくなるほど責任が増す、ということを実感しましたね。 おカネのことでみんなが満足する形というのはありません。自分に振り分けられた額をみたら、どうしても不満な部分が目につきます。しかし予算の総枠は決まっていますから、一部の人が不平を言ってきても「こういう理由で配分したのだから、わかってください」と答えるしかありません。 私は批判の矢面に立たされて苦労しました。私と財務担当の副学長が、各部局に説明してまわったわけです。それでも最終的にはみんなに理解してもらえたと思っています。苦労はありますが、このしくみは基本的に私はいいものだと思いますよ。
眞柄私どもが知っている国立大学のイメージとはかなり変わりましたね。学長は自分で計画を立て、戦略的に予算を投下していく。会社の社長と同じですね。 牟田まさに経営です。国立大学のころは「経営している」という感覚はまったくありませんでした。経営は文部科学省がやることで、各国立大学は企業でいえば事業部のようなものでした。かつての学長は事業部長ですから、本社が決めたことをきちんと実行するのが役割という点で経営の感覚はありませんでしたね。 眞柄学長の意識変革も相当だったでしょうが、教授や職員の方々は以前との大きな違いに戸惑ったのではないでしょうか? 牟田そうですね。この1年あまりは、現実の変化に意識の変化がついていけなかったというところがあります。だから、「去年まで黙っていても予算がもらえたのに、なぜいちいち説明しなくてはならないんだ」という話が出てきます。そういう苦労のなかで痛感したのは、構成員全員との意思疎通、それから情報共有が何より大切だということです。この点では少し努力が足りなかったと反省しています。 眞柄いまのお話はたいへんよくわかります。私たちは7月から新年度になるため、4月から6月までは翌年度のビジネスプランをつくる時期に当たります。そのとき社内で聞かれる議論はまったく同じです。マインドセットの問題でいえば、予算は分け与えられるものでなく、プランをきちんと立て、結果的にアカウンタビリティを果たしていくべきものだと。コミュニケーションや情報共有が重要であることも私たちが社内で意識するのと同じです。 牟田私がショックを受けたのは、われわれ本部と現場ではかなり意識のズレがあったということです。本部で計画を立て、役員会で話し合い、「よし、これでいきましょう」と各部局長に連絡しているのだから、当然、現場の人たちにも伝わって理解されていると思っていました。ところが、半年ほどあとで現場の教授と話したらまるで理解していない。「これはいかん」と思いましたよ。われわれの考えがきちんと理解されて、現場の教授たちは初めて大学の理念に沿った行動をとることが出来るわけです。ところが、まったく伝わっていない。「理由は知らないけど、これだけしか予算をくれない」という不満が起こるわけです。もっと意思疎通と情報共有を徹底しなければならない、とさっそく今年4月から新たな取り組みをはじめたところです。 【注1】報道発表資料:「広島大学とマイクロソフトの協力関係の確立について 」より
(1) アクセシビリティ分野での共同活動
[1] 広島大学およびマイクロソフトは、障害者が健常者と同等に日常生活でITを利活用できるようにすることを目的として、障害者にIT指導をする人材(以下:アクセシビリティリーダー)の育成を協力して推進する。 [2] 広島大学は、アクセシビリティリーダー育成のための教育カリキュラムの研究開発を行う。マイクロソフトは、広島大学による上記研究開発に必要な情報提供と技術指導協力を行う。 [3] 広島大学およびマイクロソフトは、両者協力して、アクセシビリティリーダーの育成に関する広報活動を行い、広く社会にその必要性を説くとともに、アクセシビリティリーダー育成のプログラム設計について検討を行う。 [4] 広島大学は、障害学生支援のためのボランティア活動室を活用して、マイクロソフトのソフトウェアに実装されるアクセシビリティの新機能について先行検証を行い、マイクロソフトにフィードバックする。 (2) セキュリティ分野での共同活動 [1] 広島大学は、マイクロソフトが保有する「MCAセキュリティ」のトレーニングカリキュラムを活用して、広島大学の全学生および全教職員を対象に、情報セキュリティに関するトレーニングを2005年4月より実施する。これにより、社会で要請されている情報セキュリティに人材の輩出に取り組むと同時に、既に制定している学内のセキュリティポリシーの厳格な運用の実現を目指す。 [2] 広島大学は、前項の目的のために、「広島大学MCAトレーニングセンター」(以下:MCAトレーニングセンター)を2005年4月に開設し、セキュリティ教育を推進するための中心的な役割を担う人材の育成(セキュリティリーダー)に早急に取り組む。マイクロソフトは、セキュリティリーダーの育成とMCAトレーニングセンターが円滑に活動開始できるように支援する。 [3] 広島大学は、セキュリティ・トレーニング実施の過程で培われたノウハウを活用して、次世代向けの新トレーニングカリキュラムの研究開発を行う。マイクロソフトは、広島大学による上記研究開発に必要な情報を提供するとともに、広島大学と協力して、上記新トレーニングカリキュラムについての検証作業を行う。 |
1)国立大学法人化は受け身ではなく大学改革のチャンスだと前向きに取り組む
2)大学運営は企業経営と同じ ビジョン共有型の運営を展開する
3)産学連携では得意技を活かすとともに芽が出はじめた分野も積極的にチャレンジする
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