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エグゼクティブ対談 【第7回】内山斉氏 (読売新聞グループ本社 代表取締役社長)

デジタルとアナログの融合を図り、メディア企業としての社会貢献を進める(2/3)

スポーツと文化を支援する公益事業と社会貢献事業

メディア企業は、社会貢献や文化貢献が大きな目標にあって初めて、存在意義が認められる

眞柄この半年ほど、メディアの存在意義について考えさせられる騒動がいくつか起こりました。私などはメディア企業、とくに報道機関と呼ばれるところは利潤の追求だけでなく、社会貢献や文化貢献が大きな目標にあって初めて、存在意義が認められるのではないかと思っています。一読者、一視聴者としてはそうあってほしいという希望です。

 ところが昨今は、このような面を抜きにしてメディアについて議論されることが増えたようにみえます。実体のない議論といいますか、実に空想的でバーチャルなメディア論議のように思われます。今ではこれまでの蓄積のない人々が、メディアについて多くを語りはじめたという印象がします。

 読売新聞社がスポーツ、文化、芸術、科学技術などの方面で約800の事業を進めているというのには驚かされます。それが「国民の生活文化の向上に役立つ」という目標に集約されているわけですね。

内山「国民の生活文化の向上に役立つ」という目標は、より具体的なビジョンで言いますと、安全保障条約を基軸とする日米の緊密な関係の下に、世界平和を推進していく、ということにもなります。

 これからの時代は、大国と大国が戦争するようなことはありえないでしょうが、文化の発達や科学技術の発達について、世界平和をめざしながら国家間で健全な競争をつづけていく必要はあると思っています。

 では何で競争するかといえば、1つはスポーツです。オリンピックやサッカーのワールドカップみたいにそれぞれの国や地域を代表してチームが戦う。これは世界平和につながります。スポーツを通して世界平和をめざすことは、当社が最も力を入れている活動の一つです。

眞柄さまざまなスポーツで国際試合が盛んになるのは良いことですね。オリンピックにしてもサッカーにしても、選手たちが日の丸を背負って戦うときは、世代を超えて国民が一つになったような気がします。ナショナルマッチというのはそれだけ関心が高く、観戦して面白いものですからね。

内山プロ野球も日本国内で覇を競うだけでなく、ゆくゆくは世界選手権という場をつくっていきたいと考えています。そのためにはまず、国境を越えて選手の交流をもっと活発にしていくことです。

 日米のプロ野球界をみると、現在は日本からアメリカへ良い選手を輸出する方が増えています。もう少しアメリカから良い選手が来るようにしなくてはいけませんね。

眞柄今は完全に日本の輸出超過ということですね。

内山世界選手権の前に、日本が中国などを巻き込んでアジア選手権を開催するのも良いでしょう。そこで勝ったアジアの代表が世界選手権へと進む。ヨーロッパでもっと野球が普及すれば欧州選手権もできるでしょうし、それが無理ならアメリカ大陸とヨーロッパで統一の選手権大会を開き、そこで勝った欧米代表チームと、アジア代表チームが世界一を競って決戦するというのが良いかもしれません。

眞柄野球の世界一決定戦は面白いでしょうね。日本選手のレベルから考えて、日の丸を背負って戦うトーナメントが実現すれば相当に盛り上がるのではないでしょうか。

内山プロ野球ビジネスは、今後も拡大が期待できます。日本国民の皆さんに野球の面白さ、楽しさをもっと知っていただき、子どもたちが「将来はプロ野球の選手になりたい」「世界選手権で活躍するぞ」と夢を描くようになってほしいものです。

 プロ野球だけでなく、スポーツビジネスの国際化はこれから発展する可能性がありますから、マイクロソフトの力もぜひお借りしたいですね。

眞柄内山社長がおっしゃったように、スポーツビジネスはすそ野の部分に若い人たちの夢があってほしいですね。今のプロ野球も「大きくなったら大リーグでプレーするんだ」というような子どもたちの夢が支えてくれているのだと思います。

夢がかなうように世の中の仕組みをつくっていく。読売新聞グループの役割はそこにあるのではないかと思います。

内山本のタイトルと同じで、若い人たちに夢をもってもらうことは大切ですね。そして、夢が夢のままで終ってしまうのではなく、夢がかなうように世の中の仕組みをつくっていく。読売新聞グループの役割はそこにあるのではないかと思います。

 たとえばスポーツなら、プロの選手になることだけが夢ではないでしょう。読売新聞社が主催している「日本スポーツ賞」はアマチュア選手に贈られますが、何か権威ある賞を目指して努力することも夢の一つです。

 マイクロソフトにご協力いただいている「全日本大学野球選手権」や「全日本少年サッカー大会」も、アマチュアスポーツの振興を目的としています。プロスポーツだけでなく、アマチュアスポーツにも可能な限り応援して盛り立てていくというのが私たちの基本的な考え方です。

 スポーツビジネスといっても、儲かるものが多くあるわけではありません。ほとんどが持ち出しだといって良いでしょう。それでも許される範囲の持ち出しなら我慢してつづけていった方が良いんです。

 新春恒例の箱根駅伝は今年81回を迎えましたが、これなども過去はずっと赤字でした。それでも継続してきたからこそ、国民的なスポーツイベントに育ったのです。

 今やサッカーはワールドカップやJリーグで大変な人気を集めていますが、少年サッカーは読売新聞が延々と応援してきましたし、高校サッカーは日本テレビが応援してきました。両方合わせて約300億円をかけています。私は若いころ元旦から正月休みを返上して全国高校サッカー選手権大会の記事をつくり、夏は全日本少年サッカー大会で10日間ほど取材するので夏休みがとれませんでした。当時は「休暇の時期になんだ」といつも文句をいっていましたが、自分が社長になったら、そんなこと忘れたふりをして「子どもの夢を育み、ワールドカップやJリーグの下地となる大会だから、どんどん取材しなさい」と現場に号令をかけていますよ(笑)。

眞柄マイクロソフトは、読売新聞社が推進しているアマチュアスポーツ事業についても、野球やサッカーのスコア集計システムをご提供させていただき、微力ながらご支援できる機会を頂戴できて心より感謝しております。さて、日本学生科学賞もそうですが、読売新聞さんは科学技術の発展にも大きく貢献されていますね。

内山スポーツの競争と同じくらい大切なのが科学技術の競争です。日本は独特の科学技術をもっていて、たとえばナノテクノロジーでは最先端の国の一つです。他の先進国から良い技術を吸収することも大切ですが、日本独自の科学技術を育て、再構築していくことも必要だと思っています。

 読売新聞では今年3月から「伝統芸」というページをつくっています。記事で取り上げるのは歌舞伎、日本舞踊、茶道などの伝統芸能や文化なのですが、その周辺では日本の伝統技術が息づいていることがわかります。たとえば着物なら、機織りの技術、染めの技術など職人芸によってつくられている。職人さんの技には伝統的な科学技術が生きているわけです。

 これは町工場の職人さんたちも同じで、日本独自の技術が活かされて最先端の製品がつくられています。

眞柄私も中小企業のモノづくりを拝見する機会があるのですが、職人さんたちの技には目にみえない多くの財産がありますね。その伝承も含めて、日本独自の技術を育てていくことは重要なことだと思います。

内山ビル ゲイツさんが本をたくさん読んで育ったように、日本の子どもたちにも科学技術に対する興味を抱いてほしいというのが私たちの願いです。日本は将来的に、一方で平和国家としてスポーツなど文化の発信地となり、もう一方では科学立国になるだろうと思います。欧米の科学技術を真似するだけでなく、日本発の技術を大きく育てていくということです。

用語解説

スポーツ スコア集計及び配信システム

 

Microsoft Office Visio 2003とテンプレートを利用して、それまで手作業であったスポーツのスコア集計作業の自動化を行い、飛躍的な工数改善を実現した。例えばこれまで少年野球では、スコアの記録や保存及び配信を全て手作業で行っていた。このためスコア記録を手作業で行う為の大きな労力と、同時に紙の媒体での保存となる為、情報の配信や二次利用では大きな障害となっていた。そこで、スコア集計用にVISIOのテンプレートを開発し、読売新聞社事業局スポーツ事業部が主催する、2004年8月にジャイアンツカップ(小中学生の硬式野球の全国大会)で準公式記録として試験運用を行った。その結果、スコア記録における集計作業の効率化や即時性などが、大会関係者から高い評価を得ることができ、今年の春の大学野球選手権大会(6/7-12)でも採用されることとなった。

このシステムでは、パソコンの画面上に投手の投球や打者の打球(飛球種類・コース、安打など)をタッチするだけで、全ての情報が集計保存される。集計した情報は、インターネットを通じて即時配信ができるために、情報の受け渡しをFaxや郵便に頼ることなく、正確に瞬時に伝えることが可能となる。また、対戦の詳細情報や選手ごとの情報も蓄積されるため、後で選手やチーム単位など個別に情報を集計しなおして取り出すことも簡単に行えることになる。 今後は、野球に留まらず、ラグビースコアブック、サッカーのスコアブック、バスケット・・・・等、他のスポーツのスコア集計への展開を予定している。

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対談目次

1)グループ企業の再編で実現した経営効率の向上とスピードアップ

2)スポーツと文化を支援する公益事業と社会貢献事業

3)デジタルとアナログを融合させ人間味あるサービスを追求する

4)三世代が一緒に過ごせる読売モデルの街づくり

ゲスト:内山 斉氏
読売新聞グループ本社 代表取締役社長

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

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