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経革広場トップページ > 経営を語る > エグゼクティブ対談 第5回 細川佳代子氏

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エグゼクティブ対談 【第5回】細川佳代子(特定非営利活動法人スペシャルオリンピックス日本 理事長、
2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会 会長、「500万人トーチラン」実行委員長)

スペシャルオリンピックスの感動から新しい人生が始まる(2/3)

スペシャルオリンピックスの意義は実際に参加して初めてわかる

眞柄今回の大会でスペシャルオリンピックスの活動は広く認知されたと思いますが、具体的な成果としてはどのようなものがありますでしょうか。

細川「500万人トーチラン」の実行委員会が全国にできたことは大きいですね。「500万人トーチラン」は障害のある人、ボランティア、サポーターなどが、熊本の阿蘇で採火された聖火をトーチラン(聖火リレー)するというイベントです。大会開催前に全国各地の市町村で6カ月間にわたって実施されました。

 これまでスペシャルオリンピックスの日常活動が行われてこなかった県にも実行委員会ができましたのは、本当に素晴らしいことです。各地に拠点ができれば、私たちの活動も今後はやりやすくなります。まだスペシャルオリンピックスの活動がない地域は、500万人トーチランで協力してくださった方々を核に拡げていこうと考えています。

眞柄全国に活動を拡げていくうえで大きな足がかりになりますね。

細川これまでは私たちは100パーセント民間の力で頑張ってきました。組織づくりにしても、人から人への口コミだったり、応援してくださる企業の社員さんたちに呼びかけたりと、本当に草の根的な活動でした。

 今回の「500万人トーチラン」では、とくに地方自治体の方々にご協力いただきました。私たちがお願いしてまわったのは県知事、県庁、県庁所在地の市長、市役所、社会福祉関係の担当者、社会福祉協議会、手をつなぐ親の会、警察、消防などです。その方たちの協力がなければ、全国規模でのトーチランは実現できなかったでしょう。

10年前にお願いに行ったときはまるで無反応だった行政の方々が、今回は熱心に耳を傾けてくれました。日本の福祉行政が変わりつつあると実感しました。

 私はお願いにまわりながら、この10年で世の中がずいぶん変わったと肌で感じることができました。10年前にお願いに行ったときはまるで無反応だった行政の方々が、今回は熱心に耳を傾けてくれました。日本の福祉行政が変わりつつあると実感しました。もういまは施設をつくり、制度を整え、年金を与えればいいという時代ではありません。

 例えば、施設解体はいま世界的な流れになっています。北欧などでは施設をなくし、障害のある人たちが街に出てきてますし、グループホームの取り組みなど「施設から地域へ」という流れは完全にできあがっています。

 日本の行政もそれにならって福祉を変えようと必死ですが、残念なことに地域住民の理解がまだ追いついていないという状況です。街なかに福祉作業施設をつくろうとすれば、いまだに地域住民の反対運動が起きることがあります。行政がいくら地域によるケアを重視しても、そこに住む人たちが受け入れてくれなければ、幸せになれるはずがありません。欧米では受け入れる側に心のバリアーはありませんが、日本にはまだ根強く残っています。

 行政も困っていますから、今回の活動には大いに賛同してくれました。スポーツを通してふれあいを深め、地域社会でともに生きていこうとする活動ですから、いま正に行政が必要としている運動だというんですね。「これまで知らなくてお恥ずかしい」と言われたときは、そんな言葉が行政側から聞けるなんてと感動しましたよ。10年前は「そんな理想論を振りまわしてもうまくいくはずない」と頭から決めつけられていましたから。

眞柄箱物などハードのほうはおカネで何とかできても、ソフトの面、特に人の心まではおカネですぐに変えられませんからね。それだけに、過去10年間の資産は大きいですね。辛抱強くつづけてきたことがいま花開き始めたという気がしますね。

細川遅々とした歩みですが、やるべきことをやり、着実に賛同者の数を増やしてきたのは意味のあることです。過去6回の世界大会に選手団を送り日常のスポーツプログラムだけではなく、アスリートのリーダーを育てる委員会をつくり、約1,200人のコーチを育て、ボランティアや家族の研修などもつづけてきました。地道な努力を民間の力だけでつづけてきたわけです。地域福祉を真剣に考える行政の担当者ほど驚かれていると思います。

眞柄そのエネルギーは、今回の大会に参加して実感することができました。実際に参加して初めてわかることだと思います。

細川本当に、参加して初めてわかるんです。いくら口先で理論を唱えても、やっぱり本物ではないんですね。

 トーチランではみなさんから寄付をいただき、走るときには別に参加費1,000円をいただきました。警察や消防の方にも参加をお願いしたのですが、ある公務員の方から「日当はいくら出るんですか?」と聞かれたことがありました。実行委員が「日当どころか1,000円の参加費をいただきます」と答えたら、「おカネを払って走るんですか?」と目を丸くされたとか。そういう話があちこちで聞こえてきました。

 自分たちが参加して楽しむのだから、参加費を払うのは当然です。その代わり、参加者には記念品としてベストとバンダナのセットをプレゼントしました。

行動を起こすまで少しハードルはありますが、1回参加してみればすごくよくわかる。参加する前と後では、そのギャップは大きいですね。

 1日のイベントが終ったあと、日当のことを尋ねた公務員の方から「あの言葉はなかったことにしてください」と言われたそうです。とても恥ずかしいって。実際に参加すれば、理解してもらえるのだと思います。

眞柄行動を起こすまで少しハードルはありますが、1回参加してみればすごくよくわかる。参加する前と後では、そのギャップは大きいですね。私もそれは実感できました。

細川それが先ほど申しあげた「人生が変わる」ということなんです。

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対談目次

1)各方面に多くの資産を残したスペシャルオリンピックス世界大会

2)スペシャルオリンピックスの意義は実際に参加して初めてわかる

3)会社の仕事ができるだけでは半人前ボランティア活動を通して文武両道に

ゲスト:細川佳代子氏
特定非営利活動法人スペシャルオリンピックス日本 理事長、2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会 会長、「500万人トーチラン」実行委員長

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

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