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眞柄今後は資格認定者の数を伸ばすと同時に、質的な向上も求められるのではないでしょうか。これは私どもでは既に実現していることですが、ITコーディネータの有資格者をベースとして、民間企業が実効レベルで認定制度をその上に設けるといった流れも出てくると思います。協会としては、どのような方向性へ持っていかれるのでしょうか。
下田これからも取得者数を増やす必要はありますが、基本的には質の向上が大切だと考えています。税理士や公認会計士のように「士」のつく資格は活躍の場が保証されていますが、ITコーディネータのような「者」がつく資格は、基本的に個人のスキルや実績が評価対象となります。やはり、質の向上を図らないとどうにもなりません。 全国約5,700名の資格認定者のうち、6割は大手ITベンダーやITユーザーに勤めている企業内ITコーディネータで人材育成が資格取得の主目的です。残り4割がITコーディネータ資格をビジネスに直接活かすことを主目的にした人たちです。 私どもの施策も、こうしたITコーディネータの属性を踏まえた形で検討されなくてはいけません。企業内ITコーディネータは所属している当該組織のビジネス分野において高い提案力、顧客幹部とのコミュニケーション力、プロジェクト管理力等の高い能力が期待されています。 一方、ITコーディネータ資格で直接ビジネスを目指す4割の方々については、企業内ITコーディネータ以上に高いスキル・実績を保有しているか否か市場で評価されます。 特段の営業活動をしなくても仕事が殺到しているITコーディネータも散見され、徐々にその数も増えつつあります。いずれにしても、質の向上は欠かせません。 ITコーディネータ協会としては成功事例の収集・可視化、各種支援ツール整備、継続研修による新知識取得機会提供等の支援体制を整えていきたいと考えております。 もう1つの課題は、資格自体のブランドを上げていくことです。個人ではなかなか活躍のチャンスが広がりませんから、IT経営応援隊の幅を広げて、これをドライバーにしていくことが効果的だと考えています。 この資格制度は「毎年資格更新」という大きな特色があります。激しい環境変化に対応していくため、スキルの維持向上は不可欠なことですが、資格保有者からみると重荷になりかねません。そうならないために、資格保有の価値を上げていくことも重要です。 眞柄質の向上と資格保持の価値を高めていくという見地からしますと、例えばセキュリティや個人情報保護の問題が広く伝わることは重要ですね。本来そういった問題の重大性を説明できる方が、まだ中小企業のところへは行っていないという気がします。 これは日本にとって大きなリスクの1つです。産業の裾野で広く活躍されている中小企業の方々にほとんど説明されていない現実は危険だといえます。ITコーディネータの質を高める、あるいは次のステップに進むという意味で、ここは重要なポイントだと思いますが。 下田おっしゃる通りです。中小企業を対象にした個人情報保護やPマーク(プライバシーマーク)の啓蒙活動はほとんどみられません。 実は私どももまさにこの問題に取り組もうとしているところです。ITコーディネータからみると、ユーザーとのいい接点となりますので、今年度末から来年度初めにかけて、全国で大々的に研修会を開こうと準備しているところです。 眞柄それは素晴らしいですね。セキュリティや個人情報保護は、形がないものだけになかなか理解されにくいところがありますが、ある日突然ビジネスのうえでたいへんな負荷になることも考えられます。それだけのリスクがあることは広く知っていただきたい。大いに期待したいところですね。 下田おっしゃる通りで、昨日までやっていたことが急にできなくなる、なぜそうなるのかはなかなか理解されません。 私どもの計画では、2日コースのうち、1日目は法律の制定にかかわった人たちに「なぜ必要なのか、目的は何なのか」というところから説き起こしてもらいます。2日目にはその具体的な演習という構成です。 眞柄なるほど、それは素晴らしいですね。 コンプライアンスの問題は株式公開企業とそうでない私的企業とは違いますが、今後は海外とのビジネスが頻繁になると、コンプライアンスは重要な意味をもつと思います。そのあたりも視野にありますでしょうか。 下田個人情報保護法、Pマークまでは進んでいますが、コンプライアンスはまだ具体的な施策までブレークダウンされていません。ただ、私もまったく同じ問題意識はもっています。 従来は、中小企業といえば一定の地域に収まっている存在でしたが、これからは海外との取引も増えるでしょうし、それに伴い、これまでにない課題も数多く出てくると思います。
眞柄個人情報保護でいえば、一気にリスクを背負うケースもあるでしょうが、逆も真なりで一気にビジネスが生まれてくることも考えられます。コンプライアンスをきちんとさせて、それがビジネスを広げるというのは興味深いテーマです。 では、誰ができるかという点で、ITコーディネータが適任者ではないかと思っています。単にIT化のご支援に留まらず、企業のビジネス拡大や経営改革のご支援をすることこそ、まさにITコーディネータに課せられた使命ですね。 下田すでに個人情報保護やPマークでビジネスされている方は、ITコーディネータの中にもいらっしゃいます。協会としての支援は、そういった方々の知見を集めて整理し、多くの方々に広げていくプロセスになります。 眞柄それは協会でなければ集まらない情報ですね。 眞柄下田専務からご覧になって、中堅・中小企業がIT化を進めるうえで、私どものようなITベンダーに何を期待されていますでしょうか。 下田大きく2つあると思います。1つは中小企業の経営者に「生き残り、勝ち残りのためにはIT化は避けて通れないんだ」という気づきを与えることです。これは私どもやベンダーさんにとってマーケットの拡大につながりますが、国の産業競争力強化の観点から絶対必要なことです。この気づきをいかに与えるかが第1だと思います。 もう1つは中小企業からみて、本当に使い勝手のいいソリューション、つまり低価格で安全で、安心して使えるものをいかに提供するかです。現在のハードやソフトは、中小企業で使う側からみると難しく、バーションアップやウイルス感染などというようなことは馴染まないと思います。使う側にそういう難しさを感じさせない形で提供することがまず必要です。 眞柄この3年間に中小企業の方々からいろいろお話を伺っていますので、下田専務のご指摘はよくわかります。私どもベンダーが努力すべきことはまだまだあります。 セキュリティの問題にしても現在はお客さまに多くの負担をおかけしていますし、コンピュータと人との接点の部分ではもう少しわかりやすい操作方法も必要でしょう。これは永遠のテーマかもしれませんが、1つひとつ私どもなりに解決していかなくてはいけない問題だと思います。ここをクリアできないと、最終的に中小企業のみなさんにご理解いただけないでしょう。 下田私どもはIT経営応援隊に携わるなかで、「IT経営応援隊支援フレームワーク」というものをつくりました。このなかで、これから準備しなくてはいけないものを挙げています。 第1は中堅・中小企業のBtoBを活性化するために、FAX並みに簡単に使えるEDIがベースに必要だということです。ある意味で、これは社会インフラです。 第2は、バージョンアップやウイルスを気にしなくてもいいように、情報基盤のASPが必要だということです。 第1と第2ができたうえで、アプリケーションが必要になります。 さらに人材育成や、中小企業が自分たちのレベルを診断できるツールが必要です。気軽にできるものから深く診断ができるものまで、段階的に用意する必要があると考えております。 このような全体を含めたものを「IT経営応援隊支援フレームワーク」と呼んで、これをIT経営応援隊はもちろん、中小企業庁などにも働きかけていきたいと考えています。
眞柄まったくその通りだと思います。私どもも共通の認識でおりますので、その意味ではITコーディネータ協会と同じ方向性をもっています。さまざまな形で協力し合い、「経革広場」をご覧の方々はじめ中小企業のみなさんのお役に立てればよいと考えています。 本日はお忙しいところ大変ありがとうございました。 |
1)インフラ整備の段階から活用段階へ活躍の場が広がるITコーディネータ
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