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エグゼクティブ対談 【第3回】下田邦典氏 (特別非営利活動法人ITコーディネータ協会 専務理事)

ITコーディネータの活躍が日本の国際競争力を高める(1/2)

ITコーディネータの活躍が日本の国際競争力を高める 下田邦典氏

インフラ整備の段階から活用段階へ活躍の場が広がるITコーディネータ

眞柄マイクロソフトは今期からITコーディネータ協会に理事として加盟させていただきました。この3年ほど私どもなりに中小企業のIT化推進のお役に立ちたいと活動してきましたが、さまざまな施策を打つなかでITコーディネータの資格を取得された方々との関係は非常に重要だと考えています。ITコーディネータを対象としたマイクロソフト独自のコンサルティング資格制度(マイクロソフト・システム・コーディネーター)を設けたのもその1つです。そこでまず、そもそもITコーディネータ協会発足の経緯からお話を伺えればと思います。

中小企業のIT化を支援する人材を育成するために、ITコーディネータ制度が誕生しました

下田90年代後半にインターネットに代表される情報技術(IT)が急速に発展し、ビジネスの在り方そのものを大きく変えはじめました。アメリカではITを戦略的に活用した経営システムが有効に機能しだしていた。このような新しい情報戦略システムによる経済体質の改革は、我が国のグローバルなマーケットにおける経済優位を劣化させる危険性をはらんできていた。

 このような中にあって、国の施策として我国の経済基盤を支えている中堅・中小企業の戦略的情報化を活性化することにより、国際的な競争力を維持することを目的としたITSSP(ITソリューション・スクエア・プロジェクト)が国家プロジェクトとして1999年の産業構造審議会で方向付けられました。

 当プロジェクトの目的の1つは、中堅・中小企業の経営者にIT化の意義、価値を啓蒙・啓発すること。もう1つは啓蒙・啓発された経営者を支援する人の育成でした。この後者の狙いを実現するためにITコーディネータ制度が誕生いたしました。

眞柄いまのお話にあった2つの点、経営者の方々への啓蒙・啓発活動と人材育成はたいへん重要なことですね。特にIT分野の人材育成は中小企業のみならず、私どものIT業界を含め他業界でも深刻な問題ではないかと思われます。多くの人たちが人材育成の点で遅れをとっていると感じていることを私どもも日々の活動に中で実感しております。

 そこでお聞きしたいのですが、ITコーディネータ協会が設立されてからのこれまでの活動実績についてお聞かせいただけますか?

下田2001年の制度創設以来4年間で、資格認定者は約5,700名になりました。これは急速な立ち上がりだと評価できる数字だと思っています。 現在の課題は、ITコーディネータ資格認定者の更なるスキルアップと、いかに活躍してもらうか、という2点です。

 活躍という点からみると、ITコーディネータが関わった成功事例が多く出てくるようになりましたから、確実に認知度は高まりつつあり、また成果もあがりつつあると考えています。ただし、中小企業の多様な産業構造を考慮しますと成功事例も多くのバリエーションが要求されてきます。そのような意味では、更に多くの事例が必要ですので、本来の目的である更なる人材育成の推進と、育成した人たちがスキルを活かして世の中に貢献する舞台作りという点では大きな課題が残されています。

仕組みを作った後、次はどのように経営者の実情に即していくかというのは相当にチャレンジングです

眞柄中堅・中小企業を対象にIT化推進を支援する人材をわずか4年間で約5,700人も養成したのは驚異的な成果ですね。

 政府のe-Japan構想などをみても、すでにインフラ整備の段階から活用の段階にきていますから、まずは資格制度のインフラをつくり上げ、次に現場でどう活用するか、という点では共通のチャレンジだといえるでしょう。

 私どもの活動もまさに同じことを体験しています。ある程度の仕組みをつくった後、次はどのようにリアルなビジネスを展開するか、あるいは経営者の実情に即していくかというのは、やはり相当にチャレンジングです。

「IT経営応援隊」との全国規模の連携を図る

眞柄昨年、経済産業省が中心となりIT経営応援隊(中小企業の経営改革をITの活用で応援する委員会)が組織化されました。さまざまな事例をつくったという点でも、IT経営応援隊は積極的に取り組んでいると思います。成功事例を発表する場が、以前の限られた範囲から、横断的にまとまった形になったという気がします。

 IT経営応援隊に私どもは検討段階から積極的に関わっており、いま私は副会長を仰せつかっています。ITコーディネータ協会にとっても心強い後押しになるように思えますが、逆に協会として活用できる面も少なからずあるのではないでしょうか。

ITコーディネータははIT系から税理士まで幅広い人材で構成されています。

下田協会の専務理事としても、また個人的にもIT経営応援隊には大いに期待しています。その理由は大きく3つありまして、1つは全国規模の事業ということです。

 ITコーディネータは全国に約5,700名いて、しかも資格認定者はIT系から税理士まで幅広い人材で構成されています。ITコーディネータのユーザーも、中小企業から大企業、自治体まで幅広い構成です。

 つまりITコーディネータが活躍する場はかなり広いわけですが、私どもの協会では全国規模の土俵というものはなかなかつくれないのが実情です。IT経営応援隊に期待する第1の点はそこで、全国規模の土俵を最大限に活用していきたいと考えています。

 第2点は、それだけ広い土俵で活動するためには相当な資金がいるということです。協会にはあまり資金はありませんから、国の事業を最大限活用したい。

 第3は知恵ですが、私どもITコーディネータには知恵があります。広い土俵と資金をベースにして、積極的に知恵を出し国の事業に貢献するのは勿論、更に活性化したいというのが私どもの立場です。

眞柄IT経営応援隊では、各地域の特性に応じて「地域版IT経営応援隊」が設置され、盛んに活動が展開され始めました。また、ITコーディネータの方々も各地域でNPOなどの組織化が進み、勉強会などを積極的に開かれていると聞いています。そのあたりの連絡やリンケージはどのようになっているでしょうか。

下田ITコーディネータ協会は東京だけで、下部組織というものはなく、全国に任意組織が現在123あります。

 IT経営応援隊との連携では、典型的な例として関東経済産業局があります。同局は1都10県と管轄範囲は広く、経済産業局としては最大の規模を有し、このエリアの情報サービス産業やITコーディネータの数でいえば全国の約7割を網羅しています。従来はあまりにエリアが広いため、経済産業局としての活動がやりづらかったという面もあったようです。

 ところが、IT経営応援隊での関わりでは、関東版のIT経営応援隊がうまく機能しつつあります。具体的には、関東経済産業局の情報政策課とITコーディネータが、1都10県の任意組織(届出組織)から各13人ほどの代表を集めて推進会議をつくって活動しています。

 そのような形で各地の届出組織もIT経営応援隊の地方版に入っていますし、個人のITコーディネータも入っています。関東経済産業局のIT経営応援隊は全国モデルになるでしょう。

眞柄国主導で始まった事業は往々にして実市場との乖離が指摘され民間との連携で課題が残るケースが指摘されていますが、ITコーディネータで志の高い方々は、IT経営応援隊の実働部隊として既に動きはじめているわけですね。短期間に官民連携の素晴らしい実を結ぶ状況で進んでいるという印象があります。

下田克服すべき課題はたくさんありますが、スタート段階では非常にうまくいきつつあると思いますね。

眞柄「経革広場」は日本最大の中小企業のためのポータルサイトです。約6万の中小企業と、企業向けにサービス提供者している企業を結びつけることで、効率的な経営のご支援をしており、そのネットワークは全国に広がっております。

 全国各地にいるITコーディネータの資格認定者の情報や、あるいはIT経営応援隊で催すイベントや成功事例などの情報を各地の中小企業に結びつけるお手伝いも出来ればと考えております。このように徐々に接点が広がっていくといいですね。

  12 対談の続きへ

対談目次

1)インフラ整備の段階から活用段階へ活躍の場が広がるITコーディネータ

2)「IT経営応援隊」との全国規模の連携を図る

3)「質の向上」を目指して数々の課題に取り組む

4)企業のIT化推進でベンダーに求められるもの

ゲスト:下田邦典氏
特別非営利活動法人ITコーディネータ協会 専務理事

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

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