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エグゼクティブ対談 【第2回】安倍晋三氏 (衆議院議員 自由民主党幹事長代理)

「知力」を「富」に換える国づくり(2/3)

学校、家庭、地域で求められる子どもたちへの情報モラルの教育

眞柄もう1つ気になるのは、ITや仮想社会が発展したことに伴って、使う側あるいは提供する側のモラルが不十分ではないか、ということです。例えば長崎で、小学生の女の子の非常に悲惨な事件が起こりました。これはインターネットのなかで起きた子ども同士の言い争い、つまりバーチャルなケンカが殺人にまで至った事件です。教育の現場でITというものが非常に進んだその反対側で、われわれのモラルが十分についていってない、という気がします。これは、いま挙げた事件だけでなく、知的財産立国ということを考えたときに、使う側も権利をもっている側もお互いにきちんと正しく認め合うということにもつながってくると思います。こうしたITのモラル教育について、先生はどのようにお考えでしょうか。

子どもたちに悪い影響を与えるような情報からいかに守るかということは、しっかり考えなければならない

安倍表現の自由、報道の自由、発言の自由もありますが、そこには当然大きな責任が伴ってきます。さまざまなものが普及、発展していく過程では、人間の欲望がうまく引き出されて市場が広がるわけですが、そこには暴走する危険性もあります。その意味で、ITの世界が暴走していると思っている人は、ずいぶん多いのではないでしょうか。

 一方、子どもたちは非常に感受性が強く、影響を受けやすい。ですから、彼らに悪い影響を与えるような情報から、彼らをいかに守るかということについては、しっかり考えなければならないし、守るしくみをつくる必要があると思います。そしてまた、してはいけないことを伝えるのは、学校だけではなく家庭でしっかりと教育されなければならないと思います。

モラル教育の場をつくり、シニアの方に参加していただくというのも1つの考え方

眞柄家庭や教育現場のほかに、地域のコミュニティもあるのではないかと私は感じています。考えてみますと、私が小さなときには両親の出身地に帰りまして、おじいさん、おばあさん、あるいは親戚がいて、そのなかで間接的に子どもたちは見守られ、いろいろなことを教えられてきました。言葉として直接的ではないのですが、そのような年長者の方々から、例えば礼儀作法などは自然と教えられていたような気がします。

 いまはそのようなコミュニティが崩れてきて核家族が分散する形になっています。年長者からそのような教えというようなものは、なかなか得られない状況になってきたのではないかと思います。例えば、モラル教育の場をつくり、シニアの方にどんどん参加していただくというのも1つの考え方ではないでしょうか。

安倍たしかにいまの時代は家族も核家族化していますから、家におじいちゃんやおばあちゃんがいませんし、近所にもうるさいおじさんやおばさんもいない場合が多いでしょう。それどころか、隣に誰が住んでいるのかもわからない状況です。

 そのような環境ですから、人生経験が豊富で、自分たちも何かの役に立ちたいと考えている方、あるいは子どもが好きだという方にボランティアで参加してもらうのはいいことです。NPOなども活用したほうがいいでしょう。自然なふれあいの場、コミュニティの場をつくって、これをしてはいけない、これはしてもいいと、多くのことを教えてもらうのは大切だと思います。

幹事長就任時に宣言したオープンでスピーディな政党づくり

眞柄話が変わりますが、先生は自由民主党の改革推進本部ということで、党改革も推進されていらっしゃいますが、どのようなことを優先的にお考えになっているのでしょうか。

情熱をもった人たちに対し、立候補できるチャンスを与える政党に変えていきたいのです

安倍私は一昨年の9月21日に幹事長に就任したとき、「自由民主党をもっとオープンでスピーディな政党に変えます」と宣伝しました。そして党革検証推進委員会というのをつくって、いままで自民党はどういう改革に取り組んできてどういう実績があり、何ができたかあるいはなぜできなかったか、ということを検討してきました。そして14項目にわたって改革課題をまとめました。

 そのなかで、例えばオープンに、という意味においては「公募制度」をつくりました。これは、情熱をもって政治の世界に尽くしたいと思っている人たち、この国の政治をもっとよくしたいと思っている人たちが自民党に参加できる制度です。そうした情熱をもった人たちに対し、自民党から候補者として立候補できるチャンスを与える政党に変えていきたいのです。すでに21の選挙区が公募制度によって候補者を決めるようになっています。そのうち愛知県の1区、2区、3区、4区、8区では公募をはじめました。京都府の2区、6区でもはじめます。近々、岩手県でもやります。こうして順次、公募がはじまっています。

 私も二世なのですが、国会議員は二世などの特別なルートをもつ限られた人たちしか候補者になれない、と思われがちでした。しかしこれからは、意欲さえあれば自民党に参加できるということです。多くの人が参加することによって自由民主党はもっともっと変わっていくと思います。

眞柄それは大変な改革ですね。たしかに先生がおっしゃったように、政治の世界にはどうしても一般の人間が入っていけない、あるいは声が届かないという印象がありました。

安倍そういった印象は大きかったと思います。実際は各議員が個人後援会をもっているので、意見のやりとりは可能なのですが、しかしそこにアクセスできない人たちにとっては遠い存在であって、議員たちで勝手にいろんなことを決めているのではないか、と思われがちでした。ましてや候補者として自分がプレーヤーになるのはとても無理だな、と。しかしそれは可能なことですし、そうすることで自民党も大きく変わることができ、進化していくのではないかと考えています。

眞柄その意味では、こうして経革広場に安倍先生がご登場いただくのも、自民党がオープンとなったことを示す1つの証だといえますね。中小企業の方々に直接こうして声が届けられるのですから、以前に較べると画期的なことだと思います。ITというメディアが発展したという背景もありますが、こうしたことが可能になったのですから、時代が変わったということも強く感じます。

安倍そうですね。特にITによって誰でもどこでもさまざまな情報にアクセスできるようになりましたよね。ですから、情報提供者はそこでしっかりと情報を提供していなければ評価されないわけです。

 だから自民党も、自民党の政策そのもの以外にも、例えば政審収支報告書、私たちの政審団体あるいは関連団体の収支報告書をそこでオープンにすることを決めました。そうすることによって、われわれがどういうところから資金を得ているのかが明確になります。これはやはり大きなIT革命の結果、成果だと思います。

眞柄情報のディスクローズ、つまり透明性ですね。

安倍そうです。

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対談目次

1)わが国の資源は人 国力に活かすために足元の見直しが必要

2)日本の知的財産戦略は国際競争力を高めるうえで重要なポイント

3)学校、家庭、地域で求められる子どもたちへの情報モラルの教育

4)幹事長就任時に宣言したオープンでスピーディな政党づくり

5)友好至上主義ではなく日本側がリードしていく外交をめざす

ゲスト:安倍晋三氏
衆議院議員 自由民主党幹事長代理

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

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