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エグゼクティブ対談 【第1回】中川秀直氏 (衆議院議員 自由民主党国会対策委員長)

日本のIT戦略と知的財産はこう進む(2/3)

「知的財産立国」がソフト革命を制する

眞柄私が驚いたことの1つは、「e-Japan戦略」が策定された翌年には早くも「知的財産立国」というビジョンが打ち出され、知的財産に関する政府の取り組みが矢継ぎ早に打ち出されたことです。情報インフラを整える一方で、いち早くソフト、コンテンツ、サービスで知的財産をきちんと守るという方針を打ち出されたのは素晴らしいことだと思います。

 中川先生は、政府が今年5月にまとめた「知的財産推進計画2004」でも中心的な役割を果たされていますが、わが国が次世代に何を継承していくかという意味でも、この計画はたいへん重要な意味をもつと思います。

ITの問題は、実はハードよりもソフトの問題

中川「e-Japan戦略」を推し進めていくと、当然その先はソフト革命になってきます。コンテンツの勝負になると言うことです。それでは、知的財産の問題はどうなっているのかと、自然発生的に次の取り組みテーマが浮上してきたんです。

 現在は間違いなくソフト革命の時代に入っています。ITの問題は、実はハードよりもソフトの問題なんです。つまりは、ソフトウェアやコンテンツをどれだけ有効に利活用するかという点にかかっていますから、その目的を達成するための政策を打っていかなくてはなりません。

 このことはインターネットの世界で、日本が将来どのような位置を占めるかという問題にもつながります。一種の覇権争いともいえますが、ここに日本の将来がかかっていることは間違いありません。

 ソフト革命というのは、単にソフトウェアの問題ではなく、制度や習慣といった面も含め、あらゆるシステム変革にあたって、日本が革命の主役になっていくことです。ハード以上に重要な問題だと認識しています。われわれが意識するしないにかかわらず、ITの進化と共に、これから社会全体で大きなシステム変革が起こります。その潮流が、ソフト革命なのだと思います。

眞柄いまの日本を代表する大企業、例えばソニーさんにしても、もともとは知的財産をベースに大きくなってきました。その意味では、経革広場におられる経営者のみなさんは、中川先生のお話で勇気づけられるのではないでしょうか。

 中小企業だからといってあきらめるのではなく、自分たちの足元に財産はいくらでも転がっているということですね。国家戦略として「知的財産立国」を掲げたのは非常に重要なことだと思います。

中川そこにビジネスチャンスがあるということです。

子どもたちに対する情報モラルの教育も重要

眞柄知的財産を考えるとき、次世代にしっかり継承していくという意味で、子どもたちに対する情報モラルの教育も重要だと思います。幼少時から知的財産に関する教育を実施することは、知的財産推進計画にも盛り込まれています。

 私自身も3人の子どもを公立学校に通わせている立場なので、教育の問題はたいへん身近に感じています。知的財産の分野は専門家が少ないですから、教育の現場もたいへん苦労しているだろうと思います。

 実は私自身、今年5月に「ブロードバンドスクール協会」というNPO法人を立ち上げ、子どもたちに情報モラルや知的財産について教えていくという団体をつくりました。知的財産は対価を払って得るものであるとか、反対に、自分の知的財産は守られているという意識は、一種のモラルとして育んでいかないと広がらないと思うのです。たいへん重要な問題である一方で、具体的な教育プログラムはなかなか難しい部分もあります。

中川いま眞柄さんのいわれたことは、実に多くのポイントを含んでいると思います。  まず根本のところからいえば、日本の社会には、知恵や知識、あるいは目に見えないサービスなどに対価を払わないという文化がまだ残っています。目にみえないものは無料で、ソフトウェアといえばハードの付属品ぐらいに考えてしまう。制度的にもきちんと保護されていない。そうした感覚や文化をまず正していくことからはじめなくてはいけません。

 高度ネットワーク社会を発展させていくためには、「知的財産は有価物である」という前提は欠かせないものです。知識創発型社会を実現させるためには、その共通理解が必要です。 知恵や知識やノウハウといった目にみえない価値を正当に評価する社会、そのための制度や文化は新しい技術を生むインセンティブにつながります。このことは知的財産の面でもっと強調していかなくてはいけませんね。

 もう1点は、ITと教育のかかわりについてです。もともとインターネットは軍事技術から発生しましたが、それを一般社会に広めていったのは教育分野でした。例えばアメリカの情報ハイウェー構想がそうです。全米のすべての地域に優秀な先生がいるとは限りませんから、優れた先生の授業はインターネットを使って全米で受けられるようにする、という考え方です。こうした教育面でのメリットは、インターネットが発展する大きなきっかけとなったと思います。

 デジタル・デバイド(情報格差による社会的・経済的格差)の解消や、情報リテラシー教育はいずれも重要なテーマです。まずリテラシーのことでいうと、これから増えるシルバー世代のほうにも積極的な教育が必要になってくると思います。シルバー世代にもパソコンを使える人はいますから、同世代の仲間にもっと教えてあげられるようにするのがいいと思います。

 あるいは、情報リテラシーのあるシルバー世代が、子どもたちにボランティアでITの使い方を教えてあげる。そうすれば地域のコミュニティーも活性化し、相互扶助のシステムが確立していくことも期待できます。これは国や自治体がサポートしていってもいいでしょう。

 もう1つはモラル教育の問題です。 ここ数年、インターネットを悪用した犯罪や、インターネットを発端とする事件が後を絶ちません。ITの使い方を教育すると共にITを活用する際のモラル、つまり、情報モラルを教育していくことは極めて重要です。

 小学校からインターネットの利活用を学ぶことも大事ですが、それと同じぐらいの時間を費やして、情報モラル教育を実施していかなければならない。相手の顔がみえない、また匿名性が高いインターネットの世界だけに、情報モラル教育については早急な対策が必要だと思います。

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対談目次

1)わが国初のIT戦略「e-Japan戦略」はこうして生まれた

2)「知的財産立国」がソフト革命を制する

3)知的財産立国の健全なモラルをつくる

ゲスト:中川秀直氏
衆議院議員 自由民主党国会対策委員長

プロフィール

聞き手:眞柄泰利
マイクロソフト株式会社

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