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杉田利雄の「経営とIT」

特別号 IT投資減税が廃止になってもPSやソフト購入で減税される?!


投資促進減税の期限切れと「拡充・延長」

昨年、このコラム(経営とIT特別号、「IT投資促進税制」の減税施策がまもなく終わります)で予告したとおりこの減税措置は延長されず廃止となった。では、パソコンや業務ソフト購入に係る減税がなくなってしまったのかというと、そうでもないところがチョトややこしい。とはいっても、成長する会社にとって「減税措置」はありがたいことなので、読み進んでほしい。

設備投資を促進するための「減税措置」は一本でなく、いくつか存在する。いくつもあると思ったほうがいい。その中のひとつ「IT投資促進税制」が予定通り廃止となった。しかし、中小企業がパソコンやソフトを活用して経営基盤を強化して、雇用を創出や経済の発展に寄与するという目標が100%達成できたわけではない。政府はこれからも中小企業にIT活用による成長を望んでいる、ということだ。

「IT投資促進税制」の廃止を補完する減税措置としては、次の2点がある。
1. 情報基盤強化税制の創設
2. 中小企業投資促進税制の拡充・延長



情報基盤強化税制の創設

「情報基盤強化税制」は、初期において「戦略システム・セキュリティ投資促進税制」という名称で議論されていたようだ。企業の国際競争力向上を目的に、情報セキュリティを中心とした情報システム投資に対しての減税と目されていた。名称は変わったが、当初の目的どおり産業競争力のための情報基盤強化税制として創設された。

IT投資促進税制と情報基盤強化税制を比較すると、減税(制度)の対象物と、その条件が大きく異なる。IT投資促進税制の対象は、ハードやソフトなど多岐にわたっていたが、情報基盤強化税制に関しては、OSやデータベース管理ソフトウェア、ファイアーウォールなどの情報セキュリティ強化のための設備に限られる。

・情報基盤強化税制の対象設備 :
1)OS ※及びこれと同時に設置されるサーバー
2)データベース管理ソフトウェア ※及びこれと同時に設置されるアプリケーションソフトウェア
3)ファイアーウォール ※(1)または2)と同時に取得されるものに限る )
※ISO/IEC 15408に基づいて評価・認証されたもの

というように、情報セキュリティ強化という特別な投資に限定される。
詳しくは、独立行政法人 情報処理推進機構の「情報基盤税制について」のページをご確認ください。)こういった特定の「情報セキュリティ強化」以外の設備投資を対象とする減税措置としては、「中小企業投資促進税制の拡充・延長」がある。情報基盤強化税制については、別な機会に解説するとして、ここでは「中小企業投資促進税制の拡充・延長」について話を進めることにする。



中小企業投資促進税制の概要

1998年から適用されてきた「中小企業投資促進税制」は、対象資産を広げるなどの拡充を行い適用期限を平成20年3月31日までの2年間延長することとなった。対象資産にソフトウェアやパソコン、デジタル複合機を加えたことによって、「IT投資促進税制」の廃止を補完する形となった。

・制度の概要

青色申告書を提出する中小企業者等が、新品で特定の機械装置や備品等を取得またはリースし事業の用に供した場合、一定の金額以上のものについては、特別償却または税額控除の適用を受けることができる。

中小企業者等の範囲は、原則として資本金1億円以下の法人。ただし、取得に係る税額控除の適用については、資本金3,000万円以下の法人に限られる。

・制度の要件等

@ 機械装置の場合

区分

1台あたりの金額要件

措置の内容

取得

取得価額160万円以上のもの

30%の特別償却または取得価額 × 7%の税額控除

リース

リース総額210万円以上のもの

リース費用総額 × 60% × 7%の税額控除

A 特定機器の場合(パソコンやデジタル複合機など)

区分

同一種資産の合計金額

措置の内容

取得

取得価額120万円以上のもの

30%の特別償却または取得価額 × 7%の税額控除

リース

リース総額160万円以上のもの

リース費用総額 × 60% × 7%の税額控除


IT投資促進税のときのハードウェアは、どうだったのか

区分

同一種資産の合計金額

措置の内容

取得

取得価額140万円以上のもの

50%の特別償却または取得価額 × 10%の税額控除

リース

リース総額200万円以上のもの

リース費用総額 × 60% × 10%の税額控除

B ソフトウェア

区分

同一種資産の合計金額

措置の内容

取得

取得価額70万円以上のもの

30%の特別償却または取得価額 × 7%の税額控除

リース

リース総額100万円以上のもの

リース費用総額 × 60% × 7%の税額控除


IT投資促進税のときのソフトウェアは、どうだったのか

区分

同一種資産の合計金額

措置の内容

取得

取得価額70万円以上のもの

50%の特別償却または取得価額 × 10%の税額控除

リース

リース総額100万円以上のもの

リース費用総額 × 60% × 10%の税額控除


・制度の対象となるリース要件

1. リース業者から賃借すること
2. リース期間が5年以上かつ、その資産の耐用年数以下であること
3. リース費用総額が個々の資産ごとに定められていること
4. リース料がリース期間内に均等額にて定期的に支払われること

・制度利用の留意点

1. 資本金基準をクリアしていても、大法人の子会社等は対象外となる
2. 税額控除は法人税額の20%を限度(ただし1年間の繰越控除可能)
3. 租税特別措置法上の他の特例を受ける資産、少額資産、一括償却資産の特例を適用した資産は除かれる

このように、中小企業投資促進税制は、情報基盤強化税制に比べ、対象資産の範囲が広く、購入価額(リース総額)の基準も低いため、中小企業者にとってはより利用しやすい税制措置と思われる。同税制の活用を検討する価値がありそうだ。



中小企業投資促進税制のケーススタディ

※ケースでは、利益が出ている中小企業を想定します

・制度適用の下限で算出してみる

@ パソコン等の特定の機器の購入
(ア) 特別償却 1,200,000円 × 30%(特別償却)× 22%(法人税率)=79,200円
(イ) 税額控除 1,200,000円 × 7%=84,000円
(ウ) リースの税額控除 1,600,000円 × 60% × 10%=96,000円

@ ソフトウェアの購入
(ア) 特別償却 700,000円 × 30%(特別償却)× 22%(法人税率)=46,200円
(イ) 税額控除 700,000円 × 7%=49,000円
(ウ) リースの税額控除 1,000,000円 × 60% × 10%=60,000円

下限でこれだけの減税効果がある。前回のコラムでは、特別償却における課税処置のメリットとデメリットなどを書いたりもした。しかし、経営的には減税を受けることによってCF(キャッシュフロー)が改善する。経営者にとって利用しないという選択肢はないはずだ。

実際の減税適用の税務申告にあたっては、顧問の税理士に相談することをお勧めする。



杉田利雄

コラム概要

BFL経営財務研究所代表取締役。
BFL経営財務研究所は職業会計人(税理士・公認会計士)と協力し、中小企業にプロフェッショナル・マネージメントサービスを提供する会計人の研究所。

減税措置が延長されず廃止となった「IT投資促進税制」。
だが、パソコンや業務ソフト購入に係る減税がなくなってしまったのかというと、そうでもないらしい。
IT投資減税が廃止になってもPCやソフト購入で減税されるかもしれない情報が掲載された経営者必見の特別号コラムです。

筆者プロフィール

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