中小企業の経営者はだいたいいろいろな団体や後援会に入っています。これは正しいことです。
社内にはあまり人材がいませんし、社員が少ないため情報も入ってこないのです。それに人脈はいざという時にいろいろと経営の助けになります。したがって中小企業の社長は友人、知人をたくさん持つべきです。
しかし、不思議なことにたくさん友人を持っても経営がうまくいかずに悪くなる一方の経営者がいます。その友人達は悪くなる彼の経営を助けてくれる訳ででもなんでもありません。

地域でも業界団体でもあまり付き合いのない経営者が、意外と経営をしっかりしていて実力を持っている場合も多いのです。彼らはどのようにして人の助けをもらい、どのようにして情報を集め、どのようにして発想力を高めているのでしょうか。
実はお友達と経営は何の関係もないのです。
よく「友達にお金を貸してはならない」と言いますが、これに本質が隠れています。友達と一緒に起こした商売はだいたいうまく行きません。ビジネスは友達と全然関係ないレベルで行われるものであり、友情と切り離す必要があります。
よく「友達じゃないか。その辺は適当でいいよ」とお茶を濁す人がいます。そのような人に限って損したときは「友達なのになぜ俺に損させるんだ!」と怒ります。
つまり、ビジネスは損得があるからこそ友人を巻き込まない方がいいのに、友人付き合いをビジネスに活かそうと考えること自体にもう問題を生じているのです。
友人とビジネス上のトラブルがあると、これが別の友人を介して周囲に伝わります。「友人」というキーワードでビジネス環境を作ってきた経営者にとってもう立っても座っても居心地が悪い訳です。
以上の理由から意外と友人付き合いの下手な経営者がよい経営することが分かります。経営の本質は顧客へのサービスであり、友人との馴れ合いではないのです。
古い友人、特に地元や業界内の友人をたくさん持って多くの時間を彼らとともに過ごすと経営者は必ず狭くなります。必ず保守的になります。成功しているかどうかの基準もローカルなものになり、志も低くなる危険性があります。
もっと広く視線を放ち、異なる業界、異なる地域、場合によって異なる国のことを知るために、もっと異なる人と知り合う必要があります。師として学ぶ人を増やし、ビジネスパートナーとして知人を増やす(友人ではなく)ことでより広い視野でより大きなビジネスチャンスを捉えることができます。

明日から今までの友人に冷たくすることもありません。友人は心の友にすべきです。会うと嬉しいですし、会わなくても冷めません。思いついたときの一本の電話、駅での立ち話、年賀状の一言。何時になっても「分かるよ」「お互いに頑張ろうね」という自立した、余裕を持った付き合いこそ友情だと思います。
「発注がほしい」「少しでも商談の情報がほしい」「地域と業界内の存在感を確保したい」などの細かい目的、あるいは単なる傷口を舐めあう目的の友人は真の友人ではないということのみならず、経営者としてのサイズを小さくしてしまいます。
友人は経営のために作るものではありません。経営は友人の多さで決まるものではありません。今までのお友達は本当に良い友達ですか?