
「うちの社長はワガママで朝令暮改」、「うちの専務はもっと部下の意見を聞くべきだ」、「あの経営者はワンマンだから部下が育たない」。
社員や関係者にこのようなことを言われるとだいたいの経営者は弱ってしまい、反省に入ります。正論ですし、私も言われると一瞬元気をなくします。
しかし、このコラムでは私は正論をいうつもりはありません。皆さんと同じ経験をしてきた「自分の考え」を言います。正しいかどうかはわかりませんが、正論を気にしないで議論しましょう。
私が皆さんに言いたいのは「中小企業の経営者はワガママでいい!」ということです。なぜかというと、 まず、「ワガママ」は社長の健康に良いからです。
中小企業には優れた人材は少ないのです。一番優れた人材は他ではなく社長そのものです。これにもあれにも気を遣いすぎると激務も重なって社長の健康は必ず損なわれます。社長の体が健康でないと質の高い判断ができる訳がありません。社長が暗い顔をしていると社員が元気になる訳がありません。そのため、「ワガママ」はできれば少ない方がいいでしょうが、社長の健康を守るために、多少の「ワガママ」は必要なのです。
次に、結局、社員の「意見」に対しても、その他の社員の「反対意見」が多いからです。社員や関係者の意見は纏まっていないから意見です。たくさんの意見があります。重要な問題に関する意見もあれば些細なことに関する意見もあります。同じ問題について意見は何通りもあります。一つの意見に賛成すればその時点でその意見は社長の意見になり、それに反対する意見もたくさんあることに気付きます。参考に聞きますが、感情移入しないことです。こんなことは日本の方々は言いませんが、責任のある社長は皆やっています。もちろん、社員に「参考程度に聞いている」のような表情と表現を使う必要はありません。
最後に、所詮、多くの限界は社長の気遣いで解消できないからです。
社員にも関係者にも懸命に気遣いをすれば会社が伸びると思い込んでいる社長が多いですが、それはおかしいです。中小企業の社長の皆は限られた生存空間で頑張っています。伸びない理由は限界があるからであって、努力が足りないからではありません。社員と関係者に気遣いをしても限界そのものが変わるものではありません。たとえば社長の器が小さいのに気を遣ってもかえって逆効果の場合があります。たとえば市場がないのにいくら気を遣っても業績が伸びず社員に希望を与えられません。たとえば、地域に合わないビジネスなのに一所懸命にその地域に広めようとしてもムダな努力に過ぎません。細かい気遣いにエネルギーを注ぐよりもその限界の克服に精力を割いた方がいいと思います。
経営者だからワガママをよしなさいという発想はおかしいと思います。経営者も普通の人間です。人間として誰もが過剰なワガママを警戒すべきですが、経営者だから特別に抑える必要はありません。独創的な発想、独自な行動パターン、本能的な先見性こそが経営者の優れた特質です。これを理解できる社員や経営者が少ないのです。理解できないとワガママと思ってしまうのです。
法律やモラルに反していない範囲内でワガママを通しても社員や関係者とうまく折り合っている経営者はたくさん知っております。このような経営者 は確かにワガママの側面がありますが、しかし、付き合っているうちにその人に妙に愛嬌と魅力を感じてしまうのはなぜでしょうか。