日報をIT化することで、全社の智恵を投入し、先手を打つことができるようになり、顧客の情報が蓄積されて「顧客のダム」ができれば、確実に営業成果を挙げて行くことができるようになる。業績が上がるのは当然なのだが、更に生産性を上げるためには効率も考えたい。ずっと同じペースで努力していても営業はうまく行かない。動くべきところと引くところ。ペースを上げるべき局面とペースを落す局面がある。力任せに押しても動かない時には動かないし、押すべきところで最後まで押し切らないと、あと一歩というところで成就しなかったりする。営業にはタイミングがある。絶妙なタイミングを知ってメリハリのある活動をしたいものである。
■■孫子曰く■■
激水の疾くして、石を漂わすに至る者は、勢なり。鷙鳥の撃ちて毀折に至る者は、節なり。是の故に善く戦う者は、其の勢は険にして、其の節は短なり。
孫子は、激流が岩をも押し流すのは、水に勢いがあるからであって、水そのものに岩を動かす力があるわけではなく、鷹や鷲などの猛禽類が一撃で獲物を捕らえることができるのは、絶妙のタイミングで急降下するからであって、鷹や鷲の力によるものではないと例を挙げ、優れた戦い方は、勢いを激しくして、その勢いは短時間に集中させるものだと説いた。
営業もまさに動くべき時には一気に動き、ダラダラと時間をかけているようではうまくいかない。ここでも効力を発揮するのが、IT日報(SFA)である。IT日報では、商談の進捗状況や受注確度や受注予定時期、とるべきアクションの抜け漏れなどがタイムリーに表示され、営業活動状況が可視化される。これによって必要な時に必要な手が打て、タイミングを外さずに素早い手が打てる。前回ご紹介した「積水の計」(顧客のダム)もただデータが溜まるだけでは意味を成さない。溜まった顧客の中から、今こそ動くべきだというピンポイント情報が浮かび上がり、そこに集中してアクション投入することが可能になってこそ、ダムに顧客が溜まる価値がある。
また、IT日報で営業活動状況が可視化されると、営業の勘所、商談の匂いを嗅ぎ分けられるマネージャーや熟練営業からのアドバイスが受けられるようになる。「今こそ動け」という時もあるし、「待て、今は引きだ」という時もある。こうした判断は永年の経験と勘によってなされるもので、IT化はできないが、IT日報で営業状況を可視化することができれば、マネージャーの持っている智恵(暗黙知)を引き出すことができる。ITによって全てを解決することはできなくても、ITによって生身の人間が持つ価値を引き出して活かすことができれば、それも立派なIT活用だと言えるだろう。
(次号に続く)