ビジネスにおいて負け戦をしないためには、相手の情報をつかみ、先回りして手を打つことが必要であると前回述べた。それを日頃の営業活動で実践するにはどうすれば良いかが、今回のテーマである。顧客や競合の動きをつかんで先手を打つ。言うのは簡単だが実行するのは難しい。営業マンにはレベル差があり、すべての営業マンが適切な先手を打てるわけではない。そこで、私は紙の日報をIT化し、「計画書」にすることによって営業活動の質の向上を実現してきた。「たかが日報、されど日報」で、既に1600社で実施した実践ノウハウであるから信用して試して欲しいと思う。孫子の兵法を貴社の営業部門に定着させる仕組みが、IT日報を「計画書」にすることによって構築できる。
■■孫子曰く■■
勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。
勝利する軍は、まず敵に勝つ段取り、道筋をつけておいてから戦闘に移り、負ける軍は、先に戦闘を開始してから、どうやって勝とうかと考えるものだ、と孫子は説く。勝敗は戦ってから決まるのではなく、事前に勝敗は決しているわけだ。勝つための準備をし、勝てるイメージを持って戦いに臨むのと、ロクに準備もせず勝算もないのに戦い始めるのとでは大きな差がある。
「先に勝って後で戦う」という孫子の兵法を営業現場で実践する仕組みを作り、全営業マンの習慣にしてしまうには、日報を「計画書」にして、「次回予定」を必ず書かせるようにすると良い。一般に、日報は「報告書」だと思われているから、多くの企業では、その日の商談内容を日報で事後報告する。これではダメだ。戦い(商談)の後で事後報告しても、注文はもらえない。大切なことは、事前に考えることであり、それによって上司や先輩などから事前にアドバイスをもらい、戦い(商談)の精度を上げていくことなのだ。
だから日報はIT化して「IT日報」(SFA・CRM)にする。事前相談、事前アドバイスを商談前にやり取りするためだ。紙の日報や面と向かって話をしようとするとどうしても遅くなる。IT日報で次回予定を書くようにすれば、そのままそれが次のスケジュール登録となり、抜け漏れの防止もできるので一石二鳥だ。日報をIT化するのは、単にパソコンで打つか紙に書くかの違いではなく、スピードを上げ手間を省くための取組みなのだ。
そして更に、日報を「計画書」にするために書く次回予定は、頭を使って考えないと書けないという点が重要である。その日の報告は、覚えていたら書けるが、次にどうするかは頭を使わないと書けない。「頭を使え」と営業マンに指示をするより、頭を使わないと書けないことを書かせるようにする方が、頭を使うことを習慣化できる。ここが21世紀には重要である。マーケット縮小時代に営業成果を挙げるためには、頭を使うしかない。決められたことを決められた通りにやっているだけではジリ貧になるのは目に見えている。
短期的には、上司や先輩からの事前アドバイスで受注率を上げ、長期的には営業マンに思考訓練をさせて考える習慣をつけさせるポイントが、日報を「計画書」にすることである。こうして孫子の兵法を自社の営業組織に定着させる仕組みを作ってしまえば、確実に営業の質が高まって行く。
(次号に続く)