孫子の兵法と言えば「彼を知り己を知らば百戦殆うからず」を思い出す人が多いだろう。風林火山よりも有名だ。実は、この一節、営業改革の基本コンセプトを教えてくれている。
■■孫子曰く■■
彼を知り己を知らば、百戦殆うからず。彼を知らずして己を知らば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。
彼とは、敵のこと。営業に置き換えると、顧客ニーズと競合の動きである。まずこれをつかむ。そして自社の営業アプローチ状況をつかむのが己を知る。これができれば、マーケットの動きと自社の動きをマッチングさせることができる。ここには3つの機能がある。「顧客情報収集機能」「営業アプローチ管理機能」「日次行動修正機能」の3つである。この3つの機能を実現するITツールがSFA(営業支援システム・IT日報)だ。せっかくSFAを導入しても、「営業アプローチ管理機能」ばかりを利用して、営業マンの行動管理に明け暮れている企業もあるが、これは彼を知らず己を知るばかりであって、孫子の兵法に反しているので注意して欲しい。
この3つの機能は、営業マネジメントそのものと言っても良い。マーケットの動きをつかんで、自社の営業状況をつかみながら、日々そのマッチングを行っていくことが営業マネージャーの仕事であり、経営者の仕事である。
■■孫子曰く■■
軍の以て進む可からざるを知らずして、之に進めと謂い、軍の以て退く可からざるを知らずして、之に退けと謂う。是を軍を繋ぐと謂う。
そして孫子は、こうした情報管理ができないリーダーは、部下を鎖でグルグル巻きにして邪魔しているような存在で、組織の害悪であると指摘している。現場がどうなっているか、前線がどのような状況かをつかまずに、机上の指示命令を出す営業マネージャーほど、組織にとって邪魔なものはないだろう。このことは今も昔も変わることはない。
皆さんの会社のマネージャーや経営者はどうだろうか。
どんなに優れた人でも、どんなに成功体験を積んできた人でも、今現在の現場の実体を把握せずに適切な手を打つことはできないだろう。これだけ時代が変わり、環境も激変しているのだから。営業マネジメントの質を高めていくためには、社内、社外を問わず、現場の状況を可視化することから始めなければならない。そこで効力を発揮するのがSFA(営業支援システム・IT日報)であり、SFAとは営業マンを管理するものではなく、営業現場やマーケットの実体をマネージャーや経営者に伝える「可視化ツール」なのだ。
見えれば良いというものではないが、見えないことには何もできないわけで、まずは可視化して、彼を知り己を知るべきである。徒手空拳の精神論的営業マネジメントではなく、現場の動きを手にとるようにつかんで的確な指示を出す情報戦に持ち込むのが孫子の兵法なのだ。(次号に続く)