「風林火山」と言えば、言わずと知れた戦国武将武田信玄の旗印である。この風林火山とは、今からおよそ2500年前の中国、春秋時代の兵法書「孫子」の一節だ。この「孫子」は、最古にして最高の兵法書と言われ、三国志で知られる魏の曹操は、孫子の注釈書を残しているし、かのナポレオンが孫子を愛読したことも有名である。最近では米国のペンタゴンでも孫子の研究が行なわれるなど、幾多の時代の変革を超え、軍事だけでなく、政治や経営、組織統率、人間洞察におけるバイブルとして用いられてきた。
時代を超え、洋の東西を越えた珠玉の兵法「孫子」を最新のIT活用によって現代企業の営業改革に活かす。これによって私は1500社超の営業改革をお手伝いしてきた。私が「孫子」に学び、1500を超える実例に基づいて培ってきたIT活用のポイントを「営業・風林火山」として、12回に渡ってご紹介してみようと思う。
■■孫子曰く■■
其の疾きこと風の如く、其の徐なること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し。
「孫子」の風林火山を現代の営業に置き換えると、「営業の速きこと風の如く、傾聴すること林の如く、提案すること火の如く、値引かざること山の如し」となる。営業においても大切なことはスピードである。コストをかけずにライバルに差を付けることができるし、忙しい顧客を射止めるにはタイミングが重要となる。スピードはIT活用の重要なキーワードだ。そして次に聴く。相手を知らずに良い提案はできない。相手の言葉を素直に静かに聴き、木立の中にいるような心地良さを与える。顧客の情報を如何に収集するかがIT活用の起点となる。そして、いざ提案となったら、火のように熱い提案をしたい。顧客のためにという熱い思いをぶつける提案である。どうも最近は型にはまった心のこもらない営業が多い。自分の商品に自信があるなら、思い入れを持って熱く提案して欲しい。ITの時代だからと言ってもそこに心が無くてはならないのだ。提案力の強化もIT活用のメリットを活かせるポイントだ。
もちろん、いくら顧客に対して思い入れを持つと言っても、過度な値引や過剰サービスを要求されたら山のように頑として動いてはならない。値引とは最も安易で誰でもできる販促方法であり、一度やると抜け出せなくなるアリ地獄でもある。顧客の言いなりになったり、タダ働きさせられたり、ディスカウントサービスをするばかりでは、労多くして益少なし。如何に付加価値の高い提案を行うか、またそれを支援し実現する全社的な体制をどのように整備していくか、ここにもIT活用のフィールドがある。
営業・風林火山は、営業改革成功のポイントである、「スピードアップ」「顧客情報の収集と蓄積」「提案力強化」「全社営業体制作り」を示してくれる教えなのだ。
次回からはもう少し具体的に営業改革の中身に入っていこう。(次号に続く)