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話題の仮想通貨の入門①

 
今、世界中のメディアでなにかと注目を集めている仮想通貨。日本国内でも、今年2017年が「仮想通貨元年」と言われているように、これまで以上にメディアに登場しています。


最近では、2017年8月2日にビットコイン(BTC)から分離する形でビットコインキャッシュ(BCH/BCC)という新たな仮想通貨が誕生し話題となりました。
具体的には、ビットコインを持っている数量と同数の新仮想通貨(ビットコインキャッシュ)を無償で受領できたのです。ビットコインを持つということは、ウォレット(仮想通貨販売所に開設した自分用の口座)を持っており、そこにビットコインの残高があった、ということです。一部のウォレットでは、少数以下を切り捨て付与したようですが、多くは1ビットコイン当り1ビットコインキャッシュが付与されました。しかし、株式の配当落ちのように、配当相当分の株価が下落するようにビットコインやビットコインキャッシュの価格が低迷したのでは、嬉しい事態が起きたということにはなりません。


分離直後のビットコインの価格は、多少変動しましたが2,800米ドル前後で安定していました。分離付与されたビットコインキャッシュは、300米ドル台からスタートしました。その後ビットコインキャッシュ価格は一時727米ドルと2.4倍に高騰したが翌8月3日には一転して売りが優勢となり、4日夜に200米ドル台まで下落、その乱高下の模様がまたメディアの注目を集めました。因みにこの原稿を書いている10月上旬のビットコインキャッシュは、470米ドル前後となっています。この様に、ビットコインに代表される「仮想通貨」は、投機対象物としての機能を持っています。


日本の「法定通貨」は、円です。仮想通貨、例えばビットコインを円で購入し、価格が高騰しところでビットコインで円を買い戻すと差額分から諸費用を引いた分が儲けとなります。手持ちの円が増えますので、ビットコインは投機対象物ということです。


仮想通貨は一方で、法定通貨や電子マネーと同じように、商品やサービスの支払(決済)、送金手段として用途や機能を大幅に拡大しつつあります。また、仮想通貨のICO(Initial Coin Offering、新規仮想通貨公開)による資金調達手段も注目を集めています仮想通貨に対し今は「よく分からない」とか「不安」、「怪しい」という見方をする方が多いようです。ただ、「よく分からない」という理由で、FinTechや仮想通貨を避けていたのでは、経営判断の誤りや遅れの要因になりかねません。なぜなら、仮想通貨という新しい代金収納手段や送金、支払、資金調達の手段が生まれ、普及するということは、経営の外部環境が変化することです。いつの時代も環境変化に鈍感な企業は、成長できませんでした。この経営の外部環境の変化を体感するということが、仮想通貨体験を経営者に勧める主な理由です。


体感、体験と言っても注すべき点があります。人間の持つ射幸心や情報不足(無知)に付け込もうとする「仮想通貨もどき」の投機話や流通方法の複雑化による詐欺行為、もしくは錯誤を利用したビジネスが少なからずあります。先ず、システム上で円に対して値上がりするが永遠に法定通貨と交換できないもの(偽装通貨)があります。


次に、その仮想通貨(アルトコイン)を買うには高額な代理店登録料を必要とするもの。対象の仮想通貨は、MLMで行われ、多数の参加者を紹介しないと自身のMLM登録料(仮想通貨購入代金)を回収できないもの。高額なマイニングマシン(PCとアプリケーション)を販売し、掘り当てた仮想通貨で回収するものなど、手口はさまざまです。これらは、「ビットコイン」という過去の儲かった話しをベースとしています。そして、ビットコインは既に高値圏に入っており、投資対象ではないと説きます。新しい仮想通貨に投資して「夢もう一度」の欲望に人々の心を向かわせます。この様に市中には、標準的な仮想通貨への投資や売買とは異質な手法を取る「仮想通貨商法」があります。経営者やコンサルタントの皆様に「体験が大切」と説明しますが、手を出しては危ない仮想通貨や偽装通貨が市中に出回っていることも認識してください。


ビットコインの価格は大きく変動してきました。2010年8月ごろビットコインの取引所「Mt.Gox(マウントゴックス)」(後に破産法適用:2015年4月24日)による取引は、1ビットコインが7円程度でした。7年後の2017年8月中旬では470,000円前後で取引されています。7万倍という驚異の高騰です。100円のビットコインが700万円ということで、かい離が大きすぎてピンときません。


ここ1年(2016年10月~2017年9月)で観ても、6万円前後だった価格が約47万円ですので、5倍強の高騰と言えます。前項で示した高額な代理店方式やMLM方式の主催者は、この例を引用します。「ビットコインはこれからの投機として魅力はない。上がり過ぎている」としながら、新規の「○○○コイン」はビットコインの先例のごとく、大いに高騰するとして説明しているようです。何事においても口コミ依存型に対しては慎重になるべきです。

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執筆者:
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BFCA経営財務支援協会会長・
株式会社エム・エム・プラン代表取締役
 
杉田 利雄






2017/12/08 16:58:17

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かつて、再生に関わる多くの専門家は破産処理一辺倒に終始していました。そんな中で事業戦略研究会(旧事業再生研究会)は生き残りをかけた経営者のニーズに応えるため、税と会計の専門家(会計人)を中心として平成14年に設立。事業戦略指導の研究会(研究の場・研究者のネットワーク作り)として、活動しています。平成17年以降は、事業戦略研究会会員を中心に「事業戦略コンサル受託団体」として、東京・埼玉・神奈川・大阪・名古屋・広島にそれぞれNPO法人を設立しました。 当該地域の案件はこれらのNPO団体に紹介しています。今回のコラムは、JSK事業戦略研究会と各地NPOの主要メンバーが事業戦略について執筆しています。

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